携帯電話で作るポップコーンについて検証

携帯電話でポップコーンを作る from HiroIroが大人気なようなので、ものすごく適当に計算してみました。いろいろと手を抜いて計算している上に、数字の根拠はデミグラスだかオイスターだかよくわからないソースのものがあるので、ネタ程度に。

ポップコーン一粒に含まれる水分量

熊本県立熊本西高校化学部の方々による研究によると、ポップコーン一粒に含まれる水分量は26mgだそうです。で、ポップコーンは200度Cくらいで爆発するらしいです。

水の比熱・気化熱

水の比熱は4.2J/g・Kくらいです。で、気化熱は100度Cでだいたい2.3kJ/gです。面倒なのでポップコーン中の水分は100度Cで気化するものとします。水蒸気の比熱はだいたい2J/g・Kくらいです。水の気化熱って大きいですね。

ポップコーン一粒がはじけるのに必要なエネルギー

室温20度Cから200度Cまでポップコーン中の水分を加熱するエネルギーを計算します。ポップコーン本体については、面倒だしおそらく水分よりずっと小さいので考えません。
まず、水を20度Cから100度Cまで加熱します。
4.2×0.026×(100-20) = 8.74J
次に、この水を水蒸気にします。
2300×0.026 = 59.8J
水蒸気を100度Cから200度Cまで加熱します。
2×0.026×(200-100) = 5.2J
以上より、ポップコーン一粒の中の水分を水蒸気に変え、ポップコーンをはじけさせるのに必要なエネルギーは
8.74+59.8+5.2 = 73.7J
となります。実際には、ポップコーン本体や周辺の空気へ熱が放散してしまうので、さらに多くのエネルギーが必要になるでしょう。


さて、携帯電話が出す電波のエネルギーでポップコーン中の水分を加熱できるのでしょうか。

携帯電話の周波数

大阪大学菊池誠先生のブログエントリ電子レンジの周波数によると、水は1GHz程度以上のマイクロ波を吸収して熱に変えられるそうです。なので、NTTドコモ/ソフトバンクW-CDMAauのCDMA2000などで利用している周波数でも、十分に水を加熱できるでしょう。

携帯電話の電波の送信電力

だいたい0.2Wくらいらしいです。といっても、この電力全てがポップコーンに吸収されるわけではないので、だいたい5分の1くらい、0.04Wが吸収されるとします。これでも多すぎる気がしますが・・・。

携帯電話の電波で、ポップコーンを加熱するのにかかる時間

1Wは1J/sです。これより、携帯電話5台分の出力0.2Wで73.7Jのエネルギーを得るには、
73.7÷0.2 = 369秒
かかることになります。


いくらなんでも時間がかかりすぎです。これでは、ポップコーン内の圧力が上がる前に、水蒸気が逃げてしまうでしょう。あるいは、温度が上がる前に熱が逃げてしまいます。というわけで、携帯電話でポップコーンを作るのはあまり現実的ではない、ということになります。


・・・でも、すごくいいかげんな計算なので、誰か実験やってみてください。きっと何も起きないと思います。携帯とPHSで比較すると面白いかも。


/* 2008.12.27 追記:
YouTube - Brainiac - Cooking an Egg With 200 mobile phones
イギリスのBrainiacという科学バラエティ番組で、100台*1の携帯電話で卵がゆでられるかという実験をやっていたようです。
*/

*1:タイトルでは200台となっていますが、うち100台は残り100台と通話するために使われています